国立能楽堂特別公演「朝比奈」「木賊」

本日は国立能楽堂の特別公演を拝見し、本年の観能納めとなりました。
演目は仕舞「雲林院」、狂言「朝比奈」、能「木賊」です。
狂言「朝比奈」のシテは野村万蔵さん。本日お誕生日ということで佳き日に大曲をご立派に勤められまことにおめでたいことです\(^O^)/
普段、狂言を拝見した後は「面白かった」もしくは「芸が深い」などという感想を抱くことが多いのですが、本日の感想はズバリ「めっちゃかっこよかった!」でございます(*^_^*)
野村万蔵さん演じる朝比奈は、地獄に責め落とそうとする閻魔大王を力強く突き飛ばし、堂々と戦語りをするところなど、初めから終わりまでとにかく強くてカッコイイのです!
一方、野村又三郎さん演じる閻魔大王は、閻魔さまなのにどこか人間くさくて威厳があまりなくて愛嬌があり、朝比奈をひきたてる非常に重要な役だと感じました。
このお二人とてもよく息が合っていて絶妙な掛け合いで終始引き込まれて最後まで目が離せませんでした。お家が違うので共演機会はあまりないそうですが、このコンビでのお舞台をこれからも度々拝見したいなぁ~。
お囃子や地謡が入り能の様式を取り入れた重厚かつ華やかな演目でとても見応えがありました!
能「木賊」。これはめったに出ない稀曲で私も以前には1回しか観たことがありません。今回抱いた正直な感想は「これは難易度が高い曲だな…」…でした。
演者にとって難曲であることは間違いないと思います。一方で観ている方にもレベルの高さが要求される曲という印象を受けました。
そう感じた理由はいくつかあるのですが、その最たるものは(私だけかもしれないですが)「感情移入できなかった」ことです。
これは、子を探して物狂いになる親が母でなく父である、しかも老親。子方は幼い子どもが演じていているゆえに孫にしか見えない。子方がひと言も発しないので子ども側の思いが伝わってきにくい。といったことが原因かと思います。
ここで私が感情移入できないのは曲のせいでもなく演者のせいでもなく、単に私に想像力が不足しているためだと思いました。能は観る方の想像力が必要な芸能です。観たまま理解しようとするのではなく、想像して感じなくてはならないのです。まだまだ修行が足りませぬ!来年からは顔を洗って出直しまーす(^_^;
自分の未熟さがわかった以外は、やっぱり素晴らしいお舞台でした。梅若玄祥親分の謡は体全体が楽器のようによく響いて聴いていてとても心地良かったです。シテ柱にもたれてしばらく佇み悲しむシーンが切なくて心に響きました。お囃子も一噌仙幸さま、大倉源次郎さま、亀井忠雄さまという豪華出演陣でそれはもう申し分なくたいへん素晴らしかったです。
画像は今公演に関係あるイラストと写真です。何のこっちゃと思われた方は各写真のキャプションを読んでね(^_-)-☆

「木賊」(とくさ)とはこんな植物。細かく縦筋の入った堅い表皮が研磨材として使われたためこの名(=研草)がついたそうです。ちなみに私はこの名前を知る前はニョロニョロと呼んでいました(^_^;
「木賊」(とくさ)とはこんな植物。細かく縦筋の入った堅い表皮が研磨材として使われたためこの名(=研草)がついたそうです。ちなみに私はこの名前を知る前はニョロニョロと呼んでいました(^_^;
朝比奈はこのような七ツ道具を担いでとても強そうなのだ☆ 七ツ道具といいつつ5つしかないよな・・・(´・ω・`)
朝比奈はこのような七ツ道具を担いでとても強そうなのだ☆ 七ツ道具といいつつ5つしかないよな・・・(´・ω・`)
今日一番目が釘付けになったのが、木賊のシテが後半に身につけた装束の柄です!能でこんなポップな柄あってもいいの!?と思ってしまいましたが、解説を読むと「子方用の美麗な掛素袍」とありました。なるほど!可愛いな(*´▽`*)
今日一番目が釘付けになったのが、木賊のシテが後半に身につけた装束の柄です!能でこんなポップな柄あってもいいの!?と思ってしまいましたが、解説を読むと「子方用の美麗な掛素袍」とありました。なるほど!可愛いな(*´▽`*)