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萬狂言新春特別公演 野村萬 米寿記念

萬狂言新春特別公演 野村萬さまの米寿記念公演を拝見して参りました。
今回は萬さまの記念の会ということで、当然ながら萬さまの三番叟が核ではありましたが、もう一つの特徴としては全体を通じて「演出」にこだわった内容になっており、たいへん興味深く鑑賞いたしました。

三番叟〈式一番之伝〉

お正月などに上演されるいわゆる「翁」は正式には「式三番」という名称です。演劇ではなく祭礼として行われる儀式的演目で、もともとは「父ノ尉」「白式尉(翁)」「黒式尉(三番叟)」の三番立てであったため、式三番と呼ばれていましたが、じきに、父ノ尉が省略され、現在ではシテ方が演じる「翁」と狂言方が演じる「三番叟」の二つのみが残った形で上演されています。

今回はさらに翁が省略された、三番叟のみの演出でした。しかしながら、三番叟のみ抜き出したというものではなく、一番のみで儀式として完成されたものに作られていました。

三番叟を演じる萬さまが真っ白な装束をお召しになり、正面に向かって拝礼後「どうどうたらり〜」と謡い始め、その後に千歳の舞、三番叟と続き、一見すると翁と三番叟のミックスのようでしたが、これは通常であれば翁の役が演じる太夫(司祭役)を、この演出では三番叟の役が演じるという位置づけだそうです。ちなみに地謡も全て狂言方が勤めました。

珍しい演出はもちろんですが、やはり88歳になる萬さまが三番叟という動きの激しい役を演じるというところに興味が注がれます。昨年4月に開場した銀座の観世能楽堂でのこけら落とし公演でも、本来であれば人間国宝の萬さまが三番叟を踏まれるのが最も望まれるであろうところを、ご高齢という理由で息子の万蔵さんにお譲りになられており、最近では萬さまの三番叟を拝見する機会はなくなっていました。ですから、今回米寿の節目に萬さまの三番叟を拝見できたことは、我々ファンにとってもたいへん喜ばしいことでした。

激しく動いた後は多少呼吸が荒くなることもありましたが、足腰はいまだしっかりしたもので、まだまだ力強さと迫力にあふれていました。全身全霊をこめた舞が身体的な年齢をさほど感じさせないほど我々を圧倒する一方で、年齢を重ねることにより生み出される気品や神々しさが際立っていました。

千歳はお孫さんの万之丞さんがお勤めになりました。萬さまの円熟の芸に対して若々しく颯爽とした万之丞さんの舞を拝見していると、親から子そして孫へ脈々と芸の継承が行われてきたことを感じることができました。

元日の語

これは和泉流にしかない語りだそうです。萬さまのお孫さんである、拳之介くん、眞之介くんのお二人により晴れやかに語られました。天子の長寿の慶びを表す語りは、萬さまの長寿御祝いにふさわしい内容で祝賀ムードに華を添えました。

蝸牛〈替之型〉

これはよく上演される演目で、太郎冠者が主人に命じられてカタツムリを捕りに行くのですが、カタツムリを見たことがない太郎冠者は籔で一休みしている山伏がカタツムリではないかと問いかけたところ、山伏は自分こそが確かにカタツムリであると太郎冠者に信じ込ませてからかいます。「でんでんむーしむし」と言って囃すフレーズとリズムがとても愉快で何度観ても楽しいお話です。

今回は野村又三郎家に伝わる演出〈替之型〉で、主人と太郎冠者の設定が兄と弟になっていました。シテの山伏は野村又三郎さん、カタツムリを探しに行く弟の役はまだ中学生の奥津健一郎くんが勤めました。

特に子どもが演じるという演目ではないので、たまたま子どもに配役したんだな〜とぼんやりと思っていましたら、驚きの展開が!でんでんむーしむし、と囃す場面で、なんと又三郎さんが健一郎くんを持ち上げて肩車し、この姿勢のままでひたすら演技を続けたのです!こんなのは観たことがなくてたまげました!!

又三郎さんは中学生を肩車して笑顔で足踏みしつつ囃し続けるのは間違いなくきつかったでしょう。健一郎くんも肩の上で真っ直ぐに姿勢を保って囃し続けるのは想像以上に大変だったと思います。肩車も昔から伝わる演出なのでしょうか?だとすれば、演じられる人が限られる演出ですよね(^_^;

山伏の装束で梵天(結袈裟についているポンポンみたいなの)が真っ赤なのが印象的でした。梵天の色は身分を示していて赤は位が高いと聞いたことがありますが宗派にもよるのかな?

信長占い〈一管〉

昨年の7月に萬狂言夏公演で初演された、歴史学者の磯田道史さん作、万蔵さん台本・演出の新作狂言です。今回は〈一管〉という一噌幸弘さんの笛の演奏が入った演出でした。

信長が自分と生年月日が同じ人物を探したとされる史実に基づいたお話だそうです。元の話を知らなくても、信長と家康の関係性など歴史を知っていた方がより楽しめる演目と思います。装束もそれぞれのキャラクターにビッタリで良かったです。

信長の役は万蔵さん。派手な装束に付け髭をつけて暴君ぶりがものすごくハマっていました。実際にはやさしい方だと思いますけど(笑)。あぁ、そういえば先日には万蔵さんの月見座頭を拝見して感動し、座頭がハマリ役だと思ったばかりなのでした。芸域の幅が半端ないですね〜。ハマリ役といえば森蘭丸役の河野佑紀さんもお小姓役にぴったりなキレイはお顔立ちでしたわ〜。

信長シリーズの新作狂言、登場人物も増やして新しいバージョンもどんどん作っていただきたいです!

若菜〈立合小舞・新作下リ端〉

笑うところは特になく皮肉や風刺もないですが、お囃子が入って華やかさがあり、登場人物が嫌味のない良い人ばかりで、ほのぼのと謡と舞が主体で展開し、春の雰囲気に包まれ幸せな気分になれる演目です。今回は万蔵さんの新演出だそうです。

萬さまの海阿弥、万蔵さんの果報者という配役。万蔵家の他に、野村又三郎家、三宅家、井上松次郎さんら和泉流の他家の皆様も大原女としてご出演され、華麗な舞の競演、装束もそれぞれ異なる色で9名が並ぶととてもカラフルで綺麗でした。

大原女が次々と舞い謡う間、にこやかに控えていた萬さまが、最後に謡い舞う様子にうっとり見惚れておりましたが、終盤で片足けんけんする型をなさったのにはびっくり!三番叟という大仕事の後に、まだまだそれだけの余力があったのには驚かされました。これからもまだまだお元気にご活躍いただけそうです(*^_^*)

萬狂言 秋公演

ファミリー狂言会の後は、萬狂言 秋公演を拝見しました。以下、感想など。

小舞

野村万蔵さんの3人のご子息による小舞三番。若々しくそれぞれの個性が出ていてとても良かった。「鮒」はとても難易度が高そうだった。三番叟を披かれた万之丞さんはどんどん難しい曲に挑戦していくのだろう。今回もお稽古の成果が十二分に発揮できていたと思う。

萩大名

この演目は何度観たかわからないほど度々観ている。しかし配役によって毎回違った印象を受けるので何度観ても面白いと思う。大名がアホすぎてオチはわかっているけどやっぱり笑ってしまう。太郎冠者が教養高くて賢いっていうのがちょっと珍しい。

休憩時間に国立能楽堂の中庭に出てみたら折良く萩がたくさんの花を咲かせていた。しかも、萩大名に出てきたミヤギノハギ。なんとタイムリーな!

鳴子

これを観ただけでも来た甲斐があったと思うくらい素晴らしかった。野村萬さまと万蔵さん親子の太郎冠者と次郎冠者。主人に命じられて稲穂実る山の田に群鳥を追いにやってくるが、主人が差し入れてくれた酒を呑み、酒盛りが始まって謡ったり舞ったりのお決まりパターン。

しかし、他の演目と違うのは二人の連吟や連舞という芸を楽しめること。二人交互に舞い謡うならよくあるかもだけど、一緒にというのがポイント。二人仲良く並んで、向かって右側の太郎冠者と左側の次郎冠者が鳴子を鳴らしたり、揃って舞う姿は美しいシンメトリーであり祭礼的な神々しさすら感じさせられる。脇正面席で観ていたが、今回は正面席にすればよかったとちょっぴり後悔した。

酒盛り芸で好きな演目は「木六駄」だが、主人に命じられて仕方なく冬の雪深い山道を牛を追わなくちゃ行けないなどの厳しさがある。「鳴子」は季節が秋で田園風景が広がり、人間関係でギスギスしたものが一切無く、この上なくほのぼのとしている。平和を乱すのは稲穂を狙う鳥くらいだ。それも二人の鳴子によって追い払われる。また平和が戻って優しい時間が流れていく。

主人の役は万之丞さん。三世代の共演。働く二人をねぎらいお酒を差し入れる優しいご主人様。こういう上司がいたらいいよね。それでもなかなか帰って来ない二人が酔い潰れて眠り込んでいるのを発見して追い込むパターンはおなじみ。見つかってこれはシマッタという顔で逃げ出す万蔵さんと、あぁバレちゃった〜でもまぁいいよね(てへぺろ♪)みたいな余裕の笑顔で逃げる萬さま。毎回この笑顔にやられっぱなし(主人も観客も。笑)。

引く物尽くしや名所尽くしの長い謡だとか、鳴子を持って拍子を踏んだり浮き廻りを繰り返したり、体力が要ること間違いなしのこの芸を、いかにも楽しそうに謡い舞うというのは、よほどの技量が必要だろう。

「鳴子」を観たのはおそらく初めてだけど、この二人で観てしまったので、次に別の配役で観てもなかなか満足できないかもしれない。

合柿

柿売りが甘い柿だと言って参詣人らに売ろうとするが、試しに食べさせた柿が渋柿で、柿売りが食べてみてそれが甘かったらカゴごと買ってやるという参詣人らに、食べたらやっぱり渋柿で柿売りはそれを甘いように振る舞うがごまかしきれず、最後は参詣人にどつかれて売り物の柿もばらまかれて終わる話。

これ結局どっちが悪いのかな?柿売りが渋柿と知っていながら甘いと騙して売りつけようとした?それとも柿売りには悪気はなく試したのがたまたま渋柿で参詣人らが過剰なイジメをした?
柿売りは渋くてもとにかく売れればいいとズルい考えを抱いていたかもだけど、最後のしっぺ返しには多勢に無勢の感があり、ちょっと柿売りに同情してしまった。柿売りを演じた万禄さんが難しい役柄を好演。


秋を感じさせる演目の数々、甘い話も苦い話も楽しゅうございました。ごちそうさまでした。

パリ日本文化会館20周年記念 特別狂言公演 KYÔGEN “人間国宝・野村萬師をお迎えして”

パリ日本文化会館20周年記念として催された特別狂言公演を拝見して参りました。

和泉流狂言方・小笠原匡さんからパリで狂言の特別公演を催すというお話をお伺いしたのは一年以上前のお話。まさか自分が海外にまで日本の伝統芸能の公演を観に行くことになるとは思ってもいなかったです。
しかし、御年87歳の野村萬さまが遠路はるばるフランスまでお越しになりご出演なさるとお聞きして、これはこの上ない素晴らしい機会、もう行くしかないでしょ!!と、勢いで決心してからはトントン拍子で話が進んで、ついにフランスの地に降り立っちゃいました。

二日間の公演は前売チケットは早々に完売となっていました。スゴイ人気です!!
あらかじめ小笠原さんの奥様にお手配いただいていたのでホント良かった〜。
演目は両日とも「三番叟」「金岡 大納言」「二人袴」の三曲。
私は二日目の千秋楽を拝見しました。

海外公演では、どうしても外国の方々のウケが良さそうで出演人数も少なくて済む、棒縛や附子や蚊相撲なんかが選ばれそうな気がしていたので(←あくまでイメージです)、ストーリー性より儀式性の要素が強い三番叟や稀曲の金岡が上演されることは意外でした。それに、お囃子が必要な曲だったのも、海外公演としては何とも贅沢な選曲と感じました。

オープニングは「三番叟」。三番叟は野村万蔵さん、千歳は今年1月に襲名したばかりの野村万之丞さん。万蔵さんの三番叟は何度か拝見していますが、パリで拝見したからでしょうか?一段とお洒落な三番叟に見えました☆彡 儀式的な緊張感は日本と変わらず、特別公演の幕開きにふさわしい素晴らしい三番叟でした(^o^)

三番叟って日本人にとっても他の狂言の曲と比較して少し特殊に感じる曲だと思うんですが、フランス人の方々にはどう感じられたのかなーと興味あります。私が初めて三番叟を観た時のような神秘性をフランスの方も感じたでしょうか。
フランスも日本と同じ農耕民族ですから、五穀豊穣を寿ぐ三番叟の精神には相通ずるものがあるかもしれません。

萬さまがシテをお勤めの「金岡」。妻役は能村晶人さん。
この曲は和泉流にしかない稀曲だそうで、私もおそらく初めての拝見です。

絵師である金岡が宮中で美人の女中に一目惚れをして物狂いとなる。 それを心配した妻に話すのですが(え、話しちゃうんだ!と思いましたが、物狂いになってますから、止められないんですね。笑)、そんなら私の顔を彩色して美人にしてみなさい、と妻は言います。そして妻の顔に色を塗り始めますが、やっぱり美人にはほど遠い、と言ってしまい妻の怒りを買う・・・というお話。

舞台上で本物の紅白粉を使って筆で妻の顔に色を塗るシーンがあって、舞台や装束に粗相をしないように塗るだけでも気を遣いそう〜。それなのに、どうってことないよって感じで軽やかにやってのける萬さま。
宮廷絵師で素晴らしい絵を描けるはずなのに、おてもやんのような顔だったので(まるでわざと下手っぴに塗って妻をおちょくっているかのよう。笑)お客さんにも大ウケでした。

お囃子も入って格調高い謡や舞で観客を魅了する。大曲でありながら素直に笑える要素も多くて面白い曲でした。

おいくつになられても艶っぽく恋の狂いを演じるのがお似合いになる萬さま。一昨年は枕物狂でその芸格の高さに圧倒されましたが、あぁーー、またもや至芸の極みを拝見してしまった(*´▽`*) これを拝見できただけでもはるばるフランスまでやって来た甲斐があったというものです。

トリの演目は、小笠原匡さん、弘晃さん親子が、実の親子役を勤める「二人袴」。この演目は万国共通で楽しく見られる内容だと思うのですが、予想通りめっちゃうけていました。あと、実の親子が演じたせいか、一段と愛にあふれた二人袴でしたねぇ〜(*´▽`*)

弘晃さんはパリ在住でフランス語が堪能なので、フランス語で演じるバージョンがあったらきっと面白いんじゃないかな〜とふと思ったりもしました。他の役者さんがフランス語できなくても、日本語とフランス語まぜこぜでも面白いと思いますよん(^_^)v

フランス人の観客の皆さんがどのような反応をするのか興味津々でしたが、驚くほど日本的な鑑賞態度でした。
拍手もお囃子方や地謡がすべて退場した後のタイミングで起こり、余韻を楽しんでいました。このへん、予習してきたのかと思うほど日本的(むしろ日本よりマナーが良かったくらいに感じました)。
観客の中に日本人が多く含まれていたこと、また、もともと日本文化に造詣が深いフランス人が多かったと思われることもあると思いますが、日本のものに限らず舞台芸術を見慣れているなどで勘所が自然と備わっている方々が多かったのかもしれません。

次にパリ日本文化会館のホールについての感想です。

通常、能舞台でない普通のホールを能や狂言で使用する場合は、本物の舞台上に仮の柱を立て、舞台上の脇正面席の領域に黒っぽい幕などを敷いてデッドスペースにしてしまいますが、今回のホールでは座席が可動式になっていて、目付柱などはもちろん仮の柱ですが、ちゃんとした脇正面席が作られていました。

フランスのお客さんの体格に合わせているのだと思いますが、椅子がゆったりしていて座り心地がとても良かったです。前の椅子との間隔も広くてゆったり足が伸ばせるほど。前の列から適当な高低差があり、前の人の頭はまったく気になりませんでした。

座席番号が後列からアルファベ順に振られていて、客席の中央を境に左右に分けて、席番が偶数・奇数に分かれていたので(これ世界標準?)、自分の席を探すのかなり迷っちゃいました(^_^;

鏡板は布に松の絵が描かれたものだったのでちょっとばかりショボーンな感じでした(´・ω・`)。
また、舞台に張ってある床板も普通の能舞台のように檜の一枚板ではないので(もちろん瓶も埋まっていない(^_^;)、足拍子がきれいに響かないというような難しさはあったように聞きました。

フランスに能楽堂を・・・という話もあったりなかったり・・・するとか?
実現すると良いですね(^_^)

フランスを始めとして世界に狂言や日本の伝統文化を広めるために尽力なさっている小笠原さんご家族や、素晴らしいお舞台をご披露していただいた万蔵家御一門の方々に心からの敬意を表したいです。

公演日以外はパリやベルサイユを観光して、まぁ旅行先ならではのハプニングもあったりはしましたが、とても楽しいフランス滞在となりました。

あまりに楽しかったので、ぜひまた行きたいと思い、残ったユーロを日本円に両替しないで持ち帰ってきました(笑) またヨーロッパですごい公演が企画されることを願います!

パリ日本文化会館。エッフェル塔の近くにあります。想像してた以上に立派な会館でした。
能舞台を仮設したホール。ちゃんと脇正面席があります! たいへん座り心地の良いお座席でした。でも、鏡板がちょっぴりショボーン(´・ω・`)

萬狂言特別公演 六世野村万之丞襲名披露

萬狂言新春公演を拝見しました。

野村万蔵さんのご長男・虎之介さんが六世野村万之丞襲名を披露なさる特別公演であり、また、万蔵さんの3人の息子さんがそれぞれ三番叟、奈須与市語、千歳の披キ(=重要な曲を初演すること)というたいへん豪華な公演でした。

いつでもお披きのお舞台は、拝見する私共もワクワクしながらも緊張が伝わってくるようでつい手に汗をにぎってしまいます。今回もそのような複雑な思いで舞台を見つめます。

しかも、正面席の最前列という幸せ。この歴史的瞬間をしかと眼に焼き付けますぜ!という気分です^^

万之丞となった虎之介さんの三番叟は、名家に生まれて伝統を受け継いでいくという、背負うものの重さをしっかりと受け止め覚悟を決めたかのように思える、非常に気迫に満ちたものでした。

重圧による緊張は極限に達していただろうと想像しますが、進行と共にノリが良くなり、この大舞台を楽しんでいるようにさえ見えてきて、初めてとは思えないほど堂々とした素晴らしい三番叟でした。

同様に次男の拳之介くんの奈須与市語も、これまた初めてとは信じ難い堂に入った熱演であり圧倒されました。

三男の眞之介くんの千歳は一所懸命さが伝わってきてとても初々しかったです(*^o^*)

3人ともきっとお稽古をそれこそ死に物狂いで重ねてきてものすごく頑張ったんだろうな~と胸が熱くなりました。

この貴重な経験を糧にして大きく羽ばたいてくれることでしょう。

ほかにも野村萬さまを始め豪華な出演陣での狂言、小舞、舞囃子など豪華なラインナップで大満足。

最後に上演された「歌仙」は、和泉流固有曲ですが、和泉流の他家の方々や大蔵流の方々が共演され、元々登場人物が多くお囃子や地謡も入って華やかな曲ではありますが、万蔵さんのアイディアでさらにわかりやすく面白く改作されており、ご出演の皆さまのキャラも立っていてたいへん楽しく拝見しました。

ところで、歌仙はおめでたい曲として位置づけられていると本で読みましたが、以前に観た時には、喧嘩して終わる話なので、これっておめでたい話なの?と素朴な疑問を感じていました。

ところが今回は、さっきまで喧嘩していた歌仙たちが一緒にピョンピョンと飛び跳ねながら退場するエンディングが意表をついていて笑いが止まらず、ともかく楽しい気分でお開きとなったのでたいへんヨカッタです(^o^)