能「木賊」(とくさ)を観てきました。帰るときに木賊を配っていたので2本だけいただいてきました。何に使いましょうか(笑)
【ざっくりすぎるあらすじ】
生き別れになった父子が出会い、子を想うあまり舞って酔い狂う父の様子に終に子が名乗り出て、めでたく感激の再会を果たす。
「木賊」という曲名なのは、シテ(父親)が木賊を刈るシーンがあるからです。
木賊は水辺に自生する植物で砥草とも書き、ざらざらしているのでモノを磨くのに使うそうです。また観賞用としても人気があるとか。植木市で見かけて私自身は「にょろにょろ」と呼んでいたのが実は木賊だったのね(笑)
今日の子方はたまらなく愛くるしすぎました!5歳ぐらいでしょうか。男の子だけどお人形のように整った可愛らしい顔立ちです。でも凜々しく少年松若役を演じました。
子方が「あれは父では~」などと言う場面で、おワキの宝生欣哉さんが子方と向かい合って「それはよかった~」の様なことを言うのですが、今まで見たことないくらい微笑んでるように見えました。もちろんあえて喜びを示す表情をしたのかもしれませんが、可愛い子方を見て思わず笑みがこぼれてしまったんじゃないかしらと思いました。
2時間弱の長い曲です。重習に分類され演じるために長い修練がいる曲だそうです。上演回数もそんなに多くないんじゃないでしょうか。
木賊刈りしながらのんびり和歌を詠んだり、僧を酒で接待して身の上話したり、子を想いながら舞うゆったりした序の舞など、全体的にゆっくり進んでいって油断すると寝落ちしそうですが(笑) 見どころ満載でした。
能には母子の話は多いですが、シテが老人で父子の情愛を表現するというのがちょっと珍しくて面白かったです。(そういえば、先日の「檀風」も父子愛であったな・・)
母子の再会がかなわず母が子を抱けなかった「隅田川」とは対照的に、「木賊」では最後に父が子を抱くことができ、清々しいハッピーエンドでございました。めでたしめでたし(^_^)