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狂言風オペラ「フィガロの結婚」

本日はこれ!狂言風オペラ「フィガロの結婚」@観世能楽堂(千秋楽)

狂言風オペラは、私も大好きだった大蔵流狂言方の故・茂山千之丞さんが始められた新ジャンル。「フィガロの結婚」は2006年に初演、その時には役者は全て狂言師でしたが、2009年の「魔笛」でシテ方が加わり、今回初めて文楽の人形・太夫・三味線が加わったのだそうです。

文楽人形のエロおやじぶりが面白かったとネットで誰かが書いていましたが、勘十郞サマは品がおありになるので、全く下品でないのにちゃんと面白かったので安心しました(笑)

素朴な疑問として、床の太夫と三味線がいつもの位置と左右逆なのは何故だったんでしょう〜?
あと、勘十郞サマが舞台下駄をお履きになっていなかったので(能舞台だから下駄はNGなの?)、左遣いと足遣いがたぶん体勢的にしんどいですよねー(^_^;

シテ方は面をかけていましたが、目付柱が取り払われていたので、ちゃんと舞台の端が見えているのかドキドキでした。あと、登場してからしばらくの間は言葉を発しなかったので、もしやずっと無言なのか!?シテ方のセリフも太夫がアテレコしちゃったらどうしよう〜、と(なぜか)不安になりましたが、ちゃんとシテのセリフ(謡)があり意味もわかったので安心しました(笑)

主役はほぼ狂言方ですが、想像通り狂言とオペラ(特に喜劇)は相性が良い!装束と多少のセリフ以外はあまり狂言の様式にこだわっていない模様で、狂言の枠組みを超えた(これは能も文楽もですが)思い切った演出も結構ありました。

たまたま正面席と中正面席の通路側の席だったので、通路で行われた狂言方のお芝居も至近距離で見られて良かった!

音楽はスイスから来日したクラングアートアンサンブルにより、管楽八重奏とコントラバスにて演奏されました。アリアの部分も彼らが演奏し、とても美しい音楽でした。彼らの衣装は普通に洋服でしたが、全員、足袋をはいていてキュートでした。

実はこの公演、私としたことが全くのノーチェックでした。今日、Facebookの勘十郞さんページや友之助さんの書き込みを読んで、え?そんなのがあるの!と、フラフラ〜と観に行ったんですよね。

東京では昨日と本日の昼・夜で合計4公演、あさって22日には京都、23日には大阪で1公演ずつ行われるとのことです。今日は空席がかなり目立っていてもったいなかったなー(昼はどうだったか知らんけど)。平日の夜とはいえ祝日の前日なのに・・・。昨日の夜はもっと早い18時開演だったので、もっと厳しかったのでは?(余計なお世話か??)

いろいろな意味で、まだ試行錯誤の段階なのかなーという印象を受けましたが、とても面白い企画だと思うので、千之丞さんのご遺志をぜひ後世につないで頂きたいです!

語る楽器「琵琶」@和gaku庵

下町の風情あふれる谷中にひっそりとたたずむ日本画家アラン・ウエストさんの画廊で、薩摩琵琶のレクチャーに参加してきました。

先日友人の琵琶の演奏会に初めて行ったときに琵琶の奥深さを知ってしまい、もっと琵琶に触れてみたいと今回の参加を決意。
(友人の演奏会の模様はこちらに詳しく→琵琶と語りと夢幻の世界

講師は川嶋信子さん。和服姿がよくお似合いのお綺麗な女性です。
演奏するお姿はまるで弁天様のようです。お美しぅ~(*´▽`*)
公式ホームページはこちら↓
薩摩琵琶奏者・川嶋信子公式サイト

琵琶についてはほとんど何も知らなかったので今回はとても勉強になりました。以下、講習の内容から一部をご紹介。

日本の琵琶

琵琶にはたくさんの種類があって、現代の日本においてよく演奏されているのは薩摩琵琶と筑前琵琶。元々、琵琶は大陸から伝来した楽器ですが、日本に入ってから独自の発展をしてきました。そのため現代の日本の琵琶と中国の琵琶(ピパ)は材質、音質、奏法など異なり、全く違う楽器と言ってよいそうです。

歴史について

雅楽で使われる楽琵琶、平家物語でお馴染みの平家琵琶、という系譜を辿り、盲僧琵琶へ。盲僧琵琶とは目の見えないお坊さんが檀家を回って演奏するために使っていた物。背中に背負うために小ぶりだったようです。そういや琵琶法師って盲目の僧侶でしたよね。そして、盲僧琵琶は地域により大きく筑前盲僧琵琶と薩摩盲僧琵琶に分かれて、薩摩盲僧琵琶は武士のための薩摩琵琶となり発展して現代に至ります。(一方で筑前盲僧琵琶は現代の筑前琵琶の起源となります)

演奏方法について

楽琵琶などは横にして演奏しますが、薩摩琵琶は立てて演奏します。薩摩琵琶は大きな撥(バチ)を用いた激しい演奏が特徴です。撥は大きな二等辺三角形の頂点に小さな扇がついたような形をしていて、三角形の部分を握り、扇状の部分に小指をかけます。撥で弦をベベンとはじくお馴染みの弾き方の他に、撥で弦をしごいて「きゅるきゅる」「しゃーー」というような音を出したり、胴の部分を撥で叩いて音を出したりする奏法も行われます。撥が大きいのはそういった奏法に対応するためでもあるんですね。
また、元々武士の精神統一の手段として使われていたという琵琶。そのため、万一敵に襲われても撥を投げつけて敵を撃退できるように大きい撥となったという説があったとかなかったとか・・・(笑)
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薩摩琵琶と筑前琵琶

さて、私、薩摩琵琶と筑前琵琶にどういう違いがあるのかこれまでよくわかっていませんでした。その疑問の答えも今回明らかに。
まず、材質が違います。薩摩琵琶は桑の木で作られていて、筑前琵琶は桐の木で作られています。堅い桑の木で作られている薩摩琵琶だからこそ叩きつける奏法が適していると言えます。ちなみにこれだけの大きさの一枚板を切り出すには樹齢100年以上の桑の木が必要だとか。非常に貴重なものですよね!
また、筑前琵琶は明治以降にできたもので、薩摩琵琶と三味線の中間のようなものだそうです。薩摩琵琶は、歌う→演奏→歌う→演奏…という構成の曲ですが、筑前琵琶は三味線音楽のように歌いながら演奏する曲が多いようです。

曲について

平家物語に代表されるように題材が物語である曲が演奏されることが多く、歌うというより、浄瑠璃のように「語る」と言う方がふさわしい音楽です。歌詞は謡や浄瑠璃と比較するとわかりやすかったです。耳で聴いただけですんなりと理解できました。文語ではありますが、作られたのが最近だからなのでしょうか。大正時代に琵琶が大流行し、かつては琵琶歌の作詞家がたくさん活躍していたが今は全くいなくなってしまったと川嶋さんも残念がっておられました。

今回演奏して頂いた「西郷隆盛」と「本能寺」はどちらも人の最期を描写している曲。明るい曲はほとんど無いそうです。激しい演奏が特徴ですが哀愁漂う音色もまた心に染みいります。曲の構成は、歌ってベベーン、歌ってベベーンの繰り返しなのですが、ベベーン(歌なし)の部分が思った以上にかなり長いです。
演奏を聴いて気づいたのですが、この長い琵琶ソロの部分があることによって、聴く人が語りの内容を反芻したり情景を想像したりできるようになっているように思われました。「本能寺」では信長が館に火を放ったという語りの後、撥で弦をしごいて音を出す奏法が繰り返されるのですが、ここで火が燃え広がっていく光景が目前に広がるような感覚にとらわれました。琵琶は単なる伴奏楽器ではなく、心理描写や情景描写に重要な役割を果たしていることがわかります。

締めくくりに会場の全員で平家物語の「祇園精舎」を歌いました。歌詞カードも楽譜も無く「オウム返し」で一度だけ教わり、琵琶の演奏に合わせてみんなで合唱しました。「祇園精舎」は朗読教室で習いましたが、歌うのは初めて。にもかかわらず結構上手に歌えたような気がします(^_^)

<講演メモ>
和gaku庵(和文化サロン)語る楽器「琵琶」
2014年10月15日(水)@繪処アラン・ウエスト
講師:川嶋信子(薩摩琵琶 鶴田流)

アリスのクラシックコンサート@日生劇場

7月21日(海の日)に、日生劇場で催されたアリスのクラシックコンサートに行って参りました。

日生劇場が親子で本格的な舞台芸術に触れられることを目指して1993年から続けているファミリー向けの催し「日生劇場ファミリーフェスティヴァル」の一環です。

今回は5人のスターオペラ歌手がご出演され、ファミリー向けといえども一般向けのコンサートに全く引けを取らないクオリティの高さ。それをS席でも大人4000円(子どもは2000円)で楽しめるというのは破格のお値打ち公演であります。

<あらすじ>
歌を憎んでいるハートの女王から魔法で動物に変えられてしまった4人の男性たち。おかげで動物の鳴き声でしか歌えなくなってしまいました。しかし、どういうわけかアリスと手をつなぐと元の美しい声で歌うことができます。
ハートの女王の手下の警備隊長に追われてアリスも魔法にかけられそうになりますが、警備隊長が反対に魔法にかかってイヌになってしまいます。
皆の魔法を解いてもらうためハートの女王のお城に赴いて歌の素晴らしさを訴えるアリス達。魔法は解けるのでしょうか?

出演歌手は男性4名(バス、バリトン、テノール、カウンターテナー)、女性1名(ソプラノ)という5つの声。女性のアルトはおりませんでしたが、カウンターテナーはだいたいアルトと同じ高さの声なんだそうです。アリス(ソプラノ)を取り巻く人々(=魔法で動物に変えられてしまっている)が全員男性ということで、このキャストでバランスが良いようです。

男性の4名はそれぞれ、ゾウ(バス)、ウサギ(バリトン)、ネコ(テノール)、トリ(カウンターテナー)で、それぞれのキャラがとても似合っていました。トリは調子が良くて快活、ネコはキザでクール、ウサギは朴訥で何故か侍言葉(笑)、ゾウはのんびりしていて低音が素敵すぎ(*^_^*)

主人公の女性は毎年アリス役をなさっていて、あまりに演技が上手なので女優さんなのかなと思っていたら、この方も歌手だったのですね。見た目も少女のようで活き活きとしたコメディエンヌぶり、アリスはハマリ役です。しかも歌い始めるとそれはもう素晴らしいソプラノで惚れ惚れしてしまう歌声でありました。

そして我が師匠の女優・金子あいさま♡ 今回、前半は警備隊長としてご出演。アリスを追っかけ回して走る走る、舞台上のみならず客席の通路もすごい勢いで走りまくるε=ε=ε=┌(o゚ェ゚)┘ 同年代の私としては「転ばないでー(≧д≦)」と祈る思いでしたが、それでも私よりちょっぴり若いだけある(笑)、元気いっぱいに走りきりました。

警備隊長は魔法でイヌに変えられてしまい、その辺からドタバタなコントのような展開となるのですが、あいさんはそのコミカルな演技をとても楽しんでおられるご様子でした。

後日聞いたのですが、警備隊長、開演前にしれっとロビーに立っていたとか。ホンモノの警備員さんと信じてトイレの場所を聞く人がいたり、チビッコたちに怪訝な顔で見つめられたりして、面白かったみたいです。開演ぎりぎりに駆け込んだ私もしっかり警備隊長に見られていたそうで!ひゃー、全然気づかなかったです、一本取られました(笑)

そして後半、あいさんは本領発揮、ハートの女王様でご登場。ウエストをきゅっと締めて胸元の谷間♡を強調した上半身と巨大なレースのひだ襟、大きく膨らませたロングスカートのドレスはいかにも女王様というゴージャスなものでしたが、ロングスカートの前が少し開くようになっていて中からフリフリのミニスカートとハート柄のタイツを履いた脚線美がチラ見えしていたのが何ともキュートでございました(*´▽`*)♡

今年は前回まで好調だった「気に入らないね!」という決まり文句が台詞になかったのが残念でしたが「歌は人を幸せにしない」と言って歌を禁じていた女王様がアリスと仲間達の働きかけで戸惑いながらも少しずつ心を開いていく場面が今回のクライマックス。昨年はもっと強くて怖い物知らずの女王様でしたが、ちょっぴり弱さも見せて人間味が増した女王様もとても良かったです。

また、今回特に素晴らしかったのが舞台セット。白く巨大な、キノコの形や四角い形をしたオブジェだけが舞台上にセットされているのですが、そこにアニメーションや実写の映像を投影することで次々と状況を変えて見せます。そう、最近注目されているプロジェクションマッピングというものです。東京駅やディズニーランドのシンデレラ城でも使われたものですね(わたしゃ見てないですが…(^_^;))。

白く巨大なキノコに映し出された子どもの描く落書きのような可愛らしい小さなキノコたちがもにょもにょ動いたり色が変わったりしてとても楽しいのです♪ アリスと仲間達が手をつないで歌うと、無彩色に近かったキノコたちがどんどん明るい色に変化して、アリスが「見て!一緒に歌うと世界がこんなにカラフルになるよ!」と言って魔法にかかって歌うのを諦めかけていた仲間達を励まし、女王様の心を溶かそうと働きかける姿はとても感動的でした。

オーケストラは神奈川フィル。指揮者もオケの皆さんも全員キノコの帽子をかぶっていてとても可愛らしかったです。指揮者は「シキノコ」、オケは「ガッキノコ」…ってダジャレだし(笑)

音楽は子ども向けの曲ばかりではなく本格的なオペラのアリアもあって(しかも原語!)なんかこんなに安くお手軽に本物の歌曲楽しめちゃっていいのかしらん?ともったいないぐらい。

観ているチビッコたちもコミカルなお芝居の場面では無邪気に大声で笑っているのですが、音楽が演奏されるときちんとおとなしく聴いていて、よほど小さい子でない限りは、質の高いものは子どもにもしっかり良いと伝わるものだと思いましたよ。

観客席も一緒にみんなで歌うコーナーもあって、子どもも大人も誰もが知っている曲を全員で歌うと会場が一体となるこの楽しさはファミリー向けコンサートならではの雰囲気。

一般向けのコンサートでは周囲に気兼ねして子どもは連れて行きづらいと思われる親御さんも多いと思うので、このようなコンサートがもっと増えるといいですね。ファミリーのみならず、大人のグループやカップル、お一人様も楽しめるコンサートだと思いました。このフェスティヴァルには過去には歌舞伎や狂言も上演され、今年はこれから落語・バレエなどが控えているそうです。

私は来年もアリスが上演されて、金子あいさんがハートの女王でご出演され、そして名台詞「気に入らないね!」が再び飛び出すことを大いに期待しているのであります。日生劇場さんよろしく頼みます♪

《公式サイト》アリスのクラシックコンサート 5つの魔法の声

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琵琶と語りと夢幻の世界

友人が出演する琵琶の演奏会に行って参りました。渋谷のバリカフェで。琵琶とバリ島って不思議な組み合わせですよね。

琵琶といっても、平家物語の琵琶法師みたいのではないようです。

先週、別の場所で薩摩琵琶の演奏を聴きました。平家物語の「祇園精舎」やおなじみの「さくら」を演奏したのですが、まぁ琵琶のイメージそのままでした。「さくら」では咲いた桜も散るところまでいっちゃいそうな激しい感じの演奏でしたよ(笑)

今回は筑前琵琶のようです(違いはよくわかってないです。汗)
しかも、創作音楽!だそうな。どんなのでしょうか!?わくわく((o(´∀`)o))

<第一部>ナカムラユウコさん
「赤い蝋燭と人魚」
このお話は、子供のころに読んだことがありました。原作は小川未明さんという「日本のアンデルセン」と呼ばれた作家が書かれたそうで、それにナカムラユウコさんが曲をつけ、語り、歌い、演奏します。お話を読んだときはあまりに幼かったのでなにやら悲しい話だったという記憶しかなかったのですが、琵琶の演奏と共に聴いて、悲しさが何倍にもなって押し寄せてきました。そしてそれ以上に恐ろしさが何倍にも!やはり怖いお話には琵琶の音色は合っているなぁ~~~。

民謡三題
「五木の子守唄」
「祖谷の粉挽き唄」
「朝日のあたる家」
五木の子守唄はよく知られているメロディーとは違うバージョンでした。実際に地元で唄われている節だそうです。祖谷の粉挽き唄は労働歌だけど詞(ことば)がキレイなので気に入って歌っているとナカムラさん。「朝日のあたる家」はアメリカ民謡だそうですが、琵琶ととてもよく合っていました。

<第二部>藤本はるかさん
ここで我らがはるかちゃんの登場!いぇーーーい!\(o^▽^o)/

「月とあざらし」原作:小川未明
前述の「赤い蝋燭と人魚」と同じ作家の作品です。先ほどの「赤い蝋燭~」は怖い終わり方でしたが、このお話の最後は救いがあってホッとしました。前半は寒々とした北の海で子を失ったあざらしが寂しいと訴えるシーンが続くのですが、後半、あざらしのために楽しいものを与えたいと願った月が見た、人々が笛や太鼓で踊るシーンでそれまでとガラッと曲調が変わり音楽が俄然楽しく!琵琶で楽しい曲調の演奏は初めて聞きました。イメージとしてはウクレレで奏でる曲のような。琵琶でハワイアンもいけそうだわ~。

「虔十公園林」原作:宮沢賢治
いい話だなぁ~。宮沢賢治といえば「銀河鉄道の夜」「雨ニモマケズ」などの有名作品しか思い浮かばない私ですが、こういう短編もあったのですね。
知恵おくれの虔十(けんじゅう)が杉の苗を植えて林を作るが、うまく育たず冗談を真に受けて下枝を刈ると枝がほとんどなくなって明るくがらんとした林になってしまった。しかし子供たちの格好の遊び場になり、虔十は後にチフスで亡くなってしまうが、この林で遊んで育ち立派になった大人たちが林を残すことにして、その公園林がその後も多くの人々に本当の幸せとは何たるかを教えたという話。
このお話は知らなかったので、はるかさんの語りで聞けて良かったです。良い作品に出会うためにも琵琶の語りは一役買うなぁと思いました。

<第三部>ナカムラユウコさん/藤本はるかさん
「二人静」
おぉーーー、偶然にも3日前にお能で「二人静」を観てマイブームが来ているワタシには嬉しい曲目であります!

正月に菜摘女が若菜を摘んでいるとどこからともなく一人の女が現れ、自分の跡を供養するよう神官に伝えることを求める。菜摘女が名を尋ねると答えず、疑う者があらばそなたに取り憑き名を明かすと言って去る。菜摘女が神社に戻り神官にそのことを告げるが、つい疑う言葉を発してしまう。そのとたん最前の女が菜摘女に取り憑き、自分は静御前とほのめかす。神官は静御前ならば舞って見せれば跡を懇ろに弔おうと言う。菜摘女が舞の装束をつけ舞い始めると、全く同じ装束を身につけた女が現れ一緒に舞い始める。現れた女は静御前の亡霊であった。静の亡霊は再び神官に回向を頼み消え去っていく。

お能では能面をつけた二人がぴたりと動きを揃えて同じ舞を舞うことから非常に難易度が高い演目とされています。さて、琵琶演奏ではいかに?

ナカムラさんが静御前の亡霊、はるかさんが静御前に取り憑かれた菜摘女のお役です。
ナカムラさんが語る静御前は、吉野山で捨てられて疲れながらも気品と気高さを持ち続けている雰囲気が出ていました。はるかさんは最初は素朴な乙女の菜摘女だったのが、取り憑かれた瞬間、声の調子が変わり、周りの空気がさぁーっと変わって。このあたりは演劇的な感じです。さすが平家物語朗読で鍛えられています!

言葉づかいは古めかしく謡曲の詞章に近い感じです。でも詞がすんなりと入ってくるのは音楽のせいもあるのでしょう。二人の語りが重なり合い琵琶の合奏が始まったとき、能の相舞のように息がぴたっと合っているのがわかりました。二人の合奏は静御前の無念や悲しみにあふれていました。二人の静が寄り添って舞う姿が見えたような気がしました。

「祇園精舎」
ここでスペシャルゲストのご登場!アフリカの打楽器を演奏される方だそうです。
まず、楽器の説明がありました。仏事で使われる鈴(リン)(=シンギング・ボウルというそうです。へぇ~!)や、アフリカの子供たちのおもちゃが起源のお手玉のような楽器、口琴(「僕らの世代ではど根性ガエルでお馴染み」とおっしゃっていましたが、お若く見えるのにおいくつなのでしょ?笑)などが紹介されました。

琵琶といえば平家物語。先日、薩摩琵琶で「祇園精舎」を聞いた時は、ほぼイメージ通りのおどろおどろしい演奏でした。
しかし今回は!始まってみてびっくり!これはまさしく「ロック祇園精舎」であります!!
祇園精舎の!祇園精舎の!祇園精舎の鐘の音ーーー(いぇーーーー)!!
琵琶ですがまるでギターのようなリズム。ディープパープルのごときリフです。かけ声も、ワンツースリーフォーだし(笑)
めっちゃノリノリです!演奏者さん方も楽しそうです♪諸行無常感がどっかに吹っ飛んじゃう感じですが(笑)まあいいんです♪もう最高に楽しかったから!\(^o^)/

アフリカ打楽器奏者さんが参加されることが決まって、リズム入れよう!ということになったんだそうです(byはるかちゃん)。この自由なノリがまた良し(^_^)v

本当に失礼ながら、琵琶って暗い曲ばかり演奏されているイメージがあったので、今回は目からうろこが落ちました。やりようによって何でもアリだなって思いました。一番前のかぶりつきの席で観ていたのですが、本当に楽しくてあっという間の2時間でした♪

お二人の着物姿もとてもお似合いで素敵だったです。

琵琶と語りと夢幻の世界
~花を散らすと見る夢は春の弥生の琵琶ものがたり
2014年4月6日(日)15時半~
@バリ カフェ モンキーフォレスト(渋谷区)
琵琶演奏と語り:ナカムラユウコさん、藤本はるかさん

コバケン・ワールドVol.6 @サントリーホール

炎のマエストロ、コバケンこと小林研一郎さん(指揮)と日本フィルハーモニー交響楽団の、初心者にもなじみやすい選曲のクラシックコンサートシリーズです。曲の合間にマエストロのわかりやすいお話も入り、毎回とても楽しい音楽会です。

今回は、民族色あふれる音楽をテーマに、チェコ、ハンガリー、ロシアの音楽が多く選曲されていました。どの曲も限りなく美しく勇壮でもの悲しく…。東欧の音楽は長く凍てつく冬を連想させる気がして、故郷の北海道を思い出します。

チャイコフスキー・バイオリン協奏曲ニ長調、第一楽章の盛り上がりでもう胸にこみ上げるものがあり、目頭が熱くなってきます。バイオリン・ソロの南紫音さん、素晴らしい演奏でした。しかし、ワタシ的には第一楽章で気持ち的に盛り上がりすぎてしまい、第二楽章ではすでに抜け殻のようになっていました。すみません_(_^_)_

マーラー交響曲第5番第4楽章。翌々日にせまった3年前の忌むべき日の悲しみにあふれている、とマエストロ。鎮魂の意味をこめて選曲・演奏されたのですね。その言葉に感化されたのか曲のデキが良すぎたのか、後ろの席のお客さんがめっちゃハナすすって泣いてました。単なる花粉症かもしれませんけど?しかし、私はこの曲を聴くとどうしても条件反射で「ベニスに死す」の世界に入ってしまいます。東北ではなくヴェネツィアの海岸を思い出していました。ああ、タジォー。

最後の曲はお待ちかね、ボレロです。いろんな場面でよく聴いていますが、生オケで聴くのは久しぶりです。

マエストロのお話、人生は寄せては返す波のようなもの。最初のスネアドラムのチッチキチ、チッチキチ、チッチッ、と規則正しく繰り返す音が、心臓の鼓動を表しているかのようだ、と解説。そこへ最初のテーマがフルートで入ります。そのテーマは打ち寄せる波で人生の営みを表し、もう一つのテーマが立ち向かうもの、欲望のようなものではないだろうか、と語られました。よくわからないけど、ウンウンそんな感じがしますぞ!

徐々に盛り上がっていき、いよいよ最高潮に達したときに光が見えます!とマエストロ。そこで客席に向かって合図をしてくれると予告。その予告通り、一番盛り上がるところでマエストロは振り返り客席に向かい左手を高々と差し上げました!

ボレロが終わった大喝采の拍手の中、マエストロ、客席へ挨拶をして、お礼を述べ、そのまま終わるような雰囲気に。あれ?アンコールは?という客席の様子にマエストロ、「ボレロのあとにアンコールというのはいかがなものか…と思いますので…」と、ボレロのクライマックス、終盤の1分間を再度演奏。確かにボレロでこれだけ盛り上がったあとにできる曲はないですよね~。なかなか粋な計らいだと思いました。

マエストロは今度はさらに大きく振り返り完全に客席に体を向け天高く手を差し上げました。ここで客席からヤンヤヤンヤの拍手が起こるかと思いきや、さすがにクラシック音楽のお客さんはお行儀が良いようで各自静かに心の中で盛り上がります(二回目なんだから拍手しても良かったような気がするけど~)。

マエストロ、翌日からハンガリーへ発ち、1ヶ月間ハンガリーのオケを指揮するそうです。それで今年は日本の桜が見られないだろう・・・と桜を贈ってもらったそうな。ホールのエントランスに飾ってあったらしいのですが、いったいどこにあったのでしょう!?私の目は節穴なんでしょうか??それが見られなかったことだけが心残りです・・・ショボ――(´-ω-`)――ン

平成26年3月9日(日)
コバケン・ワールド Vol.6
@サントリーホール

指揮とお話:小林研一郎
バイオリン:南紫音
日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:木野雅之

ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲第1番
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
<休憩>
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、第4番、第5番
マーラー:交響曲第5番より第4楽章
ラヴェル:ボレロ

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桐生着物で第九コンサート

お天気と心地よい気温に恵まれた日曜日、早朝4時半に起きて着物着て浅草からりょうもう号に乗って2時間弱かけて群馬の桐生市まで行き第九を歌ってきました。
「桐生は日本の機どころ」(上毛かるた)。着物で第九を歌おう、と銘打った演奏会は、絹織物の産地である桐生ならではのナイスな企画。地場産業と音楽を結びつけ桐生の魅力を内外に伝えるために、地元の皆さんが手作りのコンサートを一所懸命運営していることにとても好感が持てました。東京からわざわざ来てくれた御礼にとTシャツのお土産までいただき心温まるおもてなし、明るく挨拶してくれた高校生や大学生たち、皆さん親切で温かい人達でした。山脈や田園風景が美しく空気が美味しかった。来年も行きますわよーヽ(´▽`)/
ところで12月13日も第九を歌います~♪ 練習頑張りまっす!o(^▽^)o

りょうもう号。なかなか快適な旅でした。
りょうもう号。なかなか快適な旅でした。
立派な建物でした-。エレベータが速くてビックリ!
立派な建物でした-。エレベータが速くてビックリ!
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女性控室風景。着物姿が艶やかです。
リハーサル出番待ち♪
リハーサル出番待ち♪
コンサート終わりました!これから打ち上げ♪
コンサート終わりました!これから打ち上げ♪
お土産にもらったTシャツ。仲間と認めていただいたような嬉しい気分♪
お土産にもらったTシャツ。仲間と認めていただいたような嬉しい気分♪

夢の第九コンサート2013

東京国際フォーラムで第九歌ってきました!合唱は高校の音楽の授業以来でしたが、今年の9月から練習を始めて、桐生コンサートへの飛び入り初ステージ(無謀にも暗譜)、今回は大舞台で(客席参加ですが(笑)一応正装でした)人生2回目の第九となり、お隣が上手な人だったラッキーもあり気持ちよく歌いきり大満足です♪
指揮者の西本智実さん実物見たの初めてでしたが少女マンガの王子様みたいでめっちゃカッコ良かったですぅ~(*´▽`*) 私に向かってタクトを~♡ 普通、指揮者は客席に背中を向けてますが、今回指揮者がステージ奥、オケが手前の逆転配置という新しい試みでした。ステージと客席の一体感がすごかったです!

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コバケン・ワールド

東京芸術劇場で炎のマエストロ小林研一郎さん指揮によるコバケン・ワールド3回目を鑑賞してきました。
・チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》より「花のワルツ」
・メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
・チャイコフスキー:交響曲第5番

いずれも親しみやすい曲ばかりです。最初の2曲はあまりに有名すぎて誰もが聴いたことがあるのでは。そういえば「くるみ割り人形」は初めて自分のお小遣いで買ったクラシックのLPレコードだったなぁ。(LPってのが昭和ですね。笑)

交響曲第5番はチャイコフスキーが人間の「運命」をテーマに描いた曲。力強い演奏で、コバケンの魂が乗り移ったかのような迫力でした。指揮の途中で観客席を指差すお馴染みの動作は、さぁ皆さんも盛り上がって!と言わんばかりです。

アンコールはマスカーニ作曲オペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》より間奏曲。3.11を直前に控え、鎮魂のために演奏されました。静寂の会場に奏でられるこの上なく美しいメロディー。心に染みいりました。

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