萬狂言 ファミリー狂言会 秋

萬狂言 ファミリー狂言会に初参加しました。以下、感想など。

柿山伏

近頃は小学校6年生の教科書に載っているとのこと。私が小学生の頃には「附子」が載っていた。
「附子」はストーリーが滑稽で単純に面白いと思うが、「柿山伏」の場合は動物の鳴き声(それも昔の表現)が出てきたりするので、言葉の面白さが小学生の好奇心をそそるのではないかな。

小笠原匡さんの解説

「首引」の解説で、鬼がかける狂言面を実際につけて鬼が人間を怖がらせる演技。小笠原さんが「どうです?怖いでしょう〜〜」と言うと子どもたち「怖くないーー笑」。子どもは正直だな(笑)。次にやはり同じ面をかけて今度は情けない演技。先ほどの怖い鬼と対比すると全く違う印象に、場内からほおぉーーと感嘆の息が漏れる。

次に「首引」に出てくるセリフをみんなで大きな声で言ってみるお稽古。小笠原さんが見本をやって見せ、後について復唱。小笠原さんが「これは嬉しそうに!怖そうに!痛そうに!」と言うんだけど、なかなかオーバーな表現は難しいみたい。やっぱり恥ずかしいのかな。

小笠原さんは観客をノセるのがとても上手い。子どもたちも楽しげに前のめりになって体験を楽しんでいた。

首引

人を喰らう恐ろしい鬼も可愛い娘には親バカになってしまうところが、鬼なのに人間くさくて可愛らしい。そういえば、「人くさい」という言葉は狂言では「美味しそうな人間のにおいがする」の意味と解説されていた。狂言に出てくる鬼は人間以上に人間っぽいところがあって面白い(人間の方がよっぽど鬼かと思うことがある)。

小鬼たちが姫鬼を加勢する場面のかけ声「えーいさらさ、えいさらさー」を一緒に声出していいですよ、と事前に小笠原さんに言われていたので、子どもたちの中には一緒にかけ声を掛ける子も。

上演後に「鬼が怖かった人ーー、可愛いと思った人ーー」と聞かれて、みんな「可愛いーー♡」と答えていた。この後、「えーいさらさ、えいさらさー」がしばらく頭を離れなくなる。

狂言たいそう

実はひそかにこれを楽しみにしてきた。河野佑紀さん始め、若手の狂言師の皆さんが舞台上に勢揃い。まず小学生までの子どもたちがその場で立つように促される。それ以外の大きい人達は場所が空いていたら立つ。

河野さんから個々の歌詞や動作の説明があって、音楽がかかる。おぉーー、音楽があるんだ!?と楽しい気分になってくる。歌は万蔵さん!手持ちのプログラムを見ると歌詞も万蔵さん作。振り付けは歌のおにいさんの佐藤弘道さんと一緒に作ったんだって。

大人は誰も立っていなかったので座席に座ったままで一緒にたいそうした(本当は立ちたかった。笑)。狂言の台詞や動作がたくさん入っていて楽しかった。全国の小学校で流行らせたいな。

初めてファミリー狂言会に参加したが、子どもたちのお行儀が良い。騒ぐ子は一人もいなかった。大人の言うことをよく聞く良い子ばかりだ。でもちょっとおとなしかったかな。

私の前列に座っていた小学校高学年の男の子が終始とっても楽しそうだったんだけど(彼のワクワク感が伝わってきた)、隣のお母さんの顔色を気にして立ち上がる勇気が出なかった様子。お母さんが笑顔で「ほら立ってやってごらん」と促せば彼はきっと立ち上がって楽しくたいそうしただろう。

シャイな子どもも多いから、大人が率先してノリノリで楽しむところを見せた方がいいんじゃないかなと思った。場合によっては大人も一緒になってたいそうする。ほらお父さん、お母さん、恥ずかしがらずにご一緒に!


ファミリー狂言会とても楽しかったです。お子様はもちろん、演目も解説もわかりやすいので、狂言初心者の大人にもお勧めと思いました。

萬狂言 秋公演につづく。

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