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宝生閑さまの訃報に接し

ワキ方の名人、宝生閑さまが亡くなられた。

お能を観始めた頃からずっと憧れの人だった。

メロディを奏でるような音楽的で朗々としたお謡が大好きだった。

近年はお声が小さくなられてはいたが、舞台でお姿を拝見すると安心した。

何年前だったか出番を終えられ能楽堂から一人でお出になった閑先生にばったりお会いしたことがある。
私はとっさに「こんにちは」とお声をかけたところ、私のことなどご存じである由もないのに、優しい微笑みで会釈を返してくださってとても感激した。

もうあのお姿を二度と拝見できないと思うと悲しくて淋しくてどうしようもない。

今年の八月には三年ぶりとなるご流儀の会が催される予定となっていて閑先生のご出演を楽しみにしていたが、それも叶わぬ夢となってしまった。

下掛宝生流の能楽師さんの中には直接存じ上げている方も何人かおられるので、皆様の心境は如何ばかりかと思うと胸が痛む。

悲しい、、、、、。

閑先生、どうか天国でも安らかに。

能舞台に閑先生の面影を追いそうで、しばらくは能楽堂に行くことも辛くなりそうです・・・。

檀風:ついに観た!

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上演が発表されてからずーーーっと期待し続けていた、下掛宝生流 能の会『檀風』、ついに観て参りました!満席の国立能楽堂。開演前からただならぬ熱気で、なんだか凄い会になりそうな予感。そして、その予感は見事に当たり、しかも、期待をはるかに上回りました!!

すいません、こっから先、長いです!(笑)

【ざっくりあらすじ】
囚われの身「資朝」の子の「梅若」が「阿闍梨」と共に父に会いに来るが、父は子に類が及ばぬよう「子はいない」という。それでも子は父を追い声をかける。「本間」は子を無事に返すと父に約束し、父は安心し覚悟を決め本間に処刑される。だが、子は「本間こそ父の敵」と、阿闍梨の助けを得て本間を討ち果たす。
追っ手が迫り危機一髪の梅若と阿闍梨。しかし、阿闍梨の祈祷によって出現した熊野権現が風を変え二人は無事逃げ延びるのだった。

ワキ方が活躍する曲のためか、非常にドラマチックな構成でした。

阿闍利を勤められた森常好さま、素晴らしかったです!いつも美声だな~と思って拝見しているのですが、今日は特に表情がとても豊かで(最前列だったのでよく見えました)観てるこちらにも感情が切々と伝わってきました。お能って普段は表情あまり見えないので(シテは能面かけてるし。笑)これもワキ方の曲ならではですね。
阿闍梨が資朝の亡骸を抱き上げ供養するシーンがあります。この曲一番の見どころです。厳粛な静寂の中、森さんが亡骸に見立てた装束を抱き上げます。ゆっくりと恭しく。装束で人の形を作って持ち上げ、あたかも本物の人を抱きかかえているかのように見えました。会場のあちこちからすすり泣く声が聞こえています。森さんの悲しげで無念に満ちたお顔。私も目頭が熱く!(T_T)

本間三郎のお役の殿田謙吉さまもナイス!度量の広さを示す台詞の数々。また、処刑を執行するシーンは非常に写実的で観ててゾクッとしてしまいました。処刑された本人(前シテ)は装束の一部だけ床に置き、すたすた歩いて切戸口から去ります。この辺、いかにも能らしい(笑)その後、本間は討たれてしまうのですが、その仇討ちのシーンも阿闍利と子方がパントマイムで・・。あれ?本間いつの間にいなくなってたのでしょう?ワキ柱の陰になって退場の瞬間が見えなかったです。本間、情けをかけようとした本人に殺されちゃってちょっと可哀相。

子方の宝生尚哉くん、可愛かったですぅ(*´▽`*) 7,8歳ぐらいでしょうかね~。あれだけ長い舞台で立ちっぱなしで謡も多いのによく頑張ったなぁ~と思います。本当に「めんこめんこ」してあげたい(*^_^*)

そして、嬉しかったのが人間国宝、宝生閑さまのご復帰!今年に入ってから病気療養なさっていて心配いたしましたが、今回、予定通り素謡「経政」のシテでご出演なさいました。お元気なお姿を拝見し謡を拝聴でき感無量です。今後も末永くお元気でご活躍ください!ちなみに子方の尚哉くんは閑さまのお孫さんですって。

他に野村萬さんらの狂言、友枝昭世さんらの仕舞などもあり、なんて贅沢なラインナップなんでしょう!!とにかく至福の3時間余りでございました。

貴重なものを観てしまった。この感動を反芻したい!てなわけで謡本まで購入してしまいました。下掛宝生流の謡本は初めて見ました。昭和30年発行とあります。

ワキ方の台詞が多いため、非常に聞き取りやすく、ストーリーもわかりやすいので、レア曲ながらも初心者でも楽しめる演目じゃないかなと思います。皆さま、次回上演の際はぜひぜひご覧あそばせ!(って何年後、いや、何十年後になるか全くわかりませんが。笑)

檀風:つづき



以前にもご紹介したワキ方が活躍する能「檀風」のお話のつづきです。

前回のお話→http://churi.pinoko.jp/nameko/?p=59

「東京では昭和48年に上演されて以来40年ぶりという稀曲中の稀曲」だそうで。これは絶対に見逃せない!!!もちろんワタクシは観に参りますわよ。後は当日まで体調を整えておくだけです(気合い入ってます 笑)

チケットもまだ入手可能とのことなので、観てみたい方はぜひ国立能楽堂までお運びくださいませ(次はいつ観られるかわかりませんヨ~)。

チラシの写真は誰なんだろう~と思っていましたが、人間国宝・宝生閑氏のお父様、宝生弥一氏だそうです。お声は貴重音源で拝聴したことがありますが、お写真ですがご尊顔を拝するのは初めてでございます。威風堂堂たる御姿でございますねえ~(*´▽`*)

檀風:チラシ裏面から

昨日ご紹介した「下掛宝生流 能の会」のチラシ裏面から。

演目「檀風」について。解説によると、処刑の場面があったり、親子の恩愛や敵討ちなどが描かれているそうで、ストーリー的にもかなり面白そう。文楽、歌舞伎がお好きな人にもウケそうなテーマです。(いかがですか?そこの文楽ファンのお友達!笑)

能にはファンタジー能とドラマチック能があると思うんですけど、これは劇的要素の強いドラマチック能ですね。やはりワキ方が主役だから、台詞で聴かせるシーンが多いのかしら?皆様方の熱演が期待されます!

「めったに上演されない稀曲」「脇方の重要な秘事」
レアものに弱いワタクシ、ここにもそそられておりますw

能の他に素謡、仕舞、狂言もありますが、出演者を見ておりますと・・・アッ!ワキ方の宝生閑さま始め、4人も人間国宝がおられます!地味に豪華キャストですぅ(*´▽`*)

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檀風:発表!

お能を観に行く時はだいたい、好きな演目や演者(特にシテ)を選んで観に行きます。同じおシテの舞台を拝見できるのは年に1回か2回ぐらいなもんです。しかし、選ぶ選ばないに関わらず、能楽堂でちょくちょく会ってしまう方々がいます。それはワキ方の皆さん!なぜならば、彼らは能には欠かせない存在にも関わらず、とーっても数が少ないからなのです。
ワキ方の最大流派は下掛宝生流です。それでも全国で26人しかいません(能楽協会に登録されている正会員の人数。ワタクシ調べ)。特に東京ではこの流派がワキ方のほとんどを占めています。
しょっちゅう能を観に行っていると、同じおワキに何度も遭遇し、結果的におシテよりもよく見ちゃってるため、なんだか勝手に知り合いみたいな感覚になってます。アラ、またお会いしましたね、みたいな(笑)(アチラは知らん~という感じでしょうケド 笑)

で、その下掛宝生流が主催する公演が3月17日に国立能楽堂であります(これが言いたかった!)。「檀風(だんぷう)」という曲が上演されます。ワキが活躍する演目らしいですよ!これは見逃せない!もちろん私も観に行きます(当然デショ?)。
ご興味がある方は、ぜひぜひお出かけくださいませ。まだ、良いお席が残っているようですよ♪ チケットの取り方がわからない方は、私に言っていただければお教えしますです!
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