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「観〇光」鎌倉セミナー対論会

北鎌倉の浄智寺で行われた、「観〇光」鎌倉セミナー対論会に行って参りました。

(第1部) 対論会(ついろんかい)テーマ「芸術の原点を語る」

第1部は著名な建築学者と浄智寺ご住職による対論会。「芸術の原点を語る」という興味深いテーマでした。偉い先生のお話は私にはちょっと難しかった。大学の授業を聞いている感じ。途中で少し気が遠くなってしまいました(^_^;)
しかし、ご住職が語られた「鎌倉は世界遺産に認定されなかったが、我々が日本の文化に誇りを持ちそれを発展させていくことができればそれでよい。日本には国宝という制度もある」というお言葉には全く同感でした。世界遺産認定を「外部の人間が決める美人コンテストのようなもの」と例えられていたのは言い得て妙で思わず膝を打ちました。また、現実問題として世界遺産に認定された場合に生じるであろう様々な問題に対して住民にも葛藤があり、住民の理解を得られるためにはまだ行政の対応が不十分ということも語られていました。

(第2部)「観〇光展」出展作家有志による小作品と制作道具の展示、制作舞台裏の話

第2部は参加型のセミナーで楽しかったです♪ 作家さんの小作品と制作道具を間近で見せて頂き、作家さんご自身から作品と道具の説明をしていただきました。

ご出演は、彫刻/大隅秀雄さん、木彫/加藤巍山さん、表装/麻殖生素子さん、絵画/中堀慎治さん。それに、観〇光の発起人である故・瓜南直子さんの作品展示。

普段見ることのない制作道具の秘話がなかなか面白かったです。特に印象に残ったのは、最近は道具を製作する職人さんが激減かつ高齢化していて、また効率化を優先して工程を省くなどの原因で品質も昔より低下しているというお話。
表装の麻殖生素子さん曰く、和紙を漉く業者が気がついたら次々と廃業していたり、屏風の木枠を作る職人さんで一番若い人が70代とか…。
絵画の中堀慎治さんが語られた、納得のいく筆を作ってくださる職人さんが既に亡くなってしまった、職人さんがご健在な間に自分が死ぬまでに必要な筆を買いだめておいた、という逸話は、驚きと共に伝統を継いでいくことの難しさをひしひしと感じさせられるお話でした。

個人的には彫刻の大隅秀雄さんのわずかな風でゆらゆらと動く機械じかけの作品が好みです。金属が素材なんですが、天秤で重さを測り絶妙なバランスを保つようよく計算されています。バイクのパーツを使っていたりして見た目にも楽しい作品が多いですね。

木彫の加藤巍山さんは仏像などの制作をなさっていますが、仏師というとノミをカーンと打ちこんで激しいイメージがあるんですが(ドラマなどでのあくまでイメージです。笑)物腰が柔らかで穏やかそうな方。刃は職人さんにオーダーするが柄の部分は自分に体に合うよう自作するとか(これは以前に能面打ちの方も同じことをおっしゃっていました)、ノミを打つゲンノウは一般的な木製を使うより金属製を使う方が少ない力で済むとか、へぇ~。

他にもいろいろと興味深いお話がたくさんありました。作品制作の裏話などをお聞きしたことで、作品自体を観る目も変わってきそうな気がします。

「観〇光」の本展示会は来年行われるとのことです。楽しみにいたしましょう♪
観〇光 ART EXPO
http://kanhikari.com/

以下、お寺と制作道具の写真を掲載します。作家さんのプロフィールと作品については上記のウエブサイトを見てくださいね。

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浄智寺に入ります~。

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彫刻/大隅秀雄さんの制作道具、パーツ。
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天秤で重量を測る。一分の狂いも許されないのだ。

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表装/麻殖生素子さんの制作材料。素材は和紙。高価な和紙を使っているそう。

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屏風の模型。ちょうつがいが和紙で作られているため、すき間ができない。
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木彫/加藤巍山さんの制作道具。ノミ、彫刻刀、ゲンノウ。柄の部分は自分の体にフィットしたものを自作。
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絵画/中堀慎治さんの制作道具。 膠に鯉の浮き袋を使用。料理屋さんで処分されるものを乾燥させて作る。

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金箔。100%の金箔は作れない。金のみだと結合が弱いため。純度が低いほど銀の含有量が高いので酸化しやすくなる。そのため作品には酸化止めを施す。
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筆は全て同じ型の筆を使用。穂先は狸の腹の冬毛を使用。制作には穂先のみを使用するため一つの作品を制作するのにある程度の本数は必要。
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自分に合った筆を製作している職人さんは既にお亡くなりになったとのこと。これは買いだめした最後のロット。
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浄智寺のお庭も素敵です。

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建物の内側からしか撮影しませんでしたが、茅葺き屋根なのです。