能楽協会主催シンポジウム「江戸式楽、そして現代」に参加して参りました。
豪華出演陣の半能「石橋 大獅子」を観ることができたのと、戦後の能楽界の歩みをご自身の経験や活動の話を交えて語られた野村萬さまによる素晴らしい基調講演を聴くことができまして、なんとこれで無料ですよ!!びっくりぽん!
パネルディスカッションは、私の期待していた内容とちょっと違っていて(てっきり「式能」の話が中心なのかと思っていた)、オリンピックの話や海外へ能を広める方向性の話になってました(パネリストが元東京五輪招致委員会CEOと元外交官だったんだから気づけよワタシ~)。最初は出演者としては名前が載っていなかった観世喜正さん(萬さまの要請で急遽ご出演)が、萬さまに話をふられる度にうまく話をまとめてくれていたのがとても良かったと思います。
そんな中で配られた資料に、昭和39年東京五輪での「オリンピック能楽祭」の番組が載っていて、それが10日間も催されていたという夢のような事実にワタクシもう目が釘付けに…!2020年も20日間くらい連続でやらんかなーと思ったりして(笑)
野村萬さまの基調講演はとても面白かったです。能楽協会の発足準備がまだ戦時中であった昭和20年6月から始まっていたことや(設立認可は終戦後の9月)、昭和26年に催された第一回「能楽賞の会」で故・観世寿夫さまが第一位、萬さま(当時の名は万之丞)が奈須語で第二位だったこと(そして審査員の先生方が明治生まれの怖~いお歴々だったとか。笑)、能楽師が能狂言以外の演劇に出演するムーブメントが起きた頃の話(千作さま・千之丞さまが能楽協会を除名されそうになったり!)、などなど興味深い話がてんこ盛りでした。
ディスカッションでの萬さまのお話も面白かった。フランス人のジャン=ルイ・バローに能の真髄を教わってしまったお話なんかも(笑)。あと、現在毎年催されている式能は時間が限られているので選曲が難しく、いかにも能らしい能を上演することができないのが悩みであるそうで。確かに一日に翁付きで能五番狂言四番やりますから、どうしても一曲一曲が短い演目になってしまうんですよね~。
萬さまがディスカッションの最後に仰っていて特に印象的だったのは、伝承を考えた時「老・壮・青」の三つの世代のうち「壮」が最も大切である、という主張です。そして観る方々も「壮」の世代に注目してくださいと仰っておられました。観客としてはどうしても華やかな若者か国宝級の重鎮に目が行ってしまいますものね~。でも「壮」の世代こそ「老」を助け「青」を導く重要な役割であると。うむ、確かに!
また、基調講演の最後に萬さまは「能楽は常に人々と共にある芸能」と力強く二度繰り返されました。またこれからの時代の伝承のためには「民」が重要であるということも。主体として活動される能楽師さんたちはもちろん努力し続けるでしょうが、観客としての我々も能楽を支えていかにゃーならんですね。50年後、100年後のためにも!