伝統芸能フォーラム能楽公演(第二部)

第二部は「隅田川」(観世流) です。本日は能楽堂ではないので、普通のホールのステージ上に特設能舞台が設置されています。

「隅田川」のあらすじ。人買いにさらわれた子を探して都から東国に下った物狂いの女が隅田川の渡し守から一年前に川岸で亡くなった子どもの話を聞き、その子が我が子であることを知ります。渡し守に導かれ我が子が眠る塚に案内された女が念仏を唱えると子どもの亡霊が現れます。女は我が子に近寄り抱こうとするのですが、悲しいかな亡霊なのですりぬけて消えてしまいます。

子方(子どもの能役者)を出す演出が是か非か、世阿弥とその息子元雅(隅田川の作者)との間で議論された、というのは有名なお話だそうで(本日の解説にもありました)。

悲しみの絶頂の場面で、子方が「なーむーあーみーだーぶーつー」と謡ったり、舞台上に現れると正直「クスッ」って思ってしまったりもして(失礼ながら・・というか子どもが出てくるとやはり微笑ましいんですよねー)。

だがしかし!我が子を抱こうとすり寄る母を何度もかわす子どもの所作が、何ともやるせなさや悲しさを誘うんですね~。ハンカチを目に当てる女性のお客さんも数多くいらっしゃいました(実際この演目は最初からハンカチをスタンバイしている人が多いような気が・・)。謡が上手なおじさまがたも目頭を熱くされていましたよ。

本日のおシテは鵜澤久さんという女性のベテラン能楽師さんでしたが、他の能楽師さんより小柄なので、悲劇の母の演技がたいへんリアルな感じがいたしました(お能にリアリティを求めてはいけないんですけど・・)。とても良かったです。

「隅田川」演劇的要素が強くとても良く構成された曲だと思います。時間も長くないので初心者にもオススメ。ぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょう?

sumidagawa2

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