「日生劇場」タグアーカイブ

アリスのクラシックコンサート@日生劇場

7月21日(海の日)に、日生劇場で催されたアリスのクラシックコンサートに行って参りました。

日生劇場が親子で本格的な舞台芸術に触れられることを目指して1993年から続けているファミリー向けの催し「日生劇場ファミリーフェスティヴァル」の一環です。

今回は5人のスターオペラ歌手がご出演され、ファミリー向けといえども一般向けのコンサートに全く引けを取らないクオリティの高さ。それをS席でも大人4000円(子どもは2000円)で楽しめるというのは破格のお値打ち公演であります。

<あらすじ>
歌を憎んでいるハートの女王から魔法で動物に変えられてしまった4人の男性たち。おかげで動物の鳴き声でしか歌えなくなってしまいました。しかし、どういうわけかアリスと手をつなぐと元の美しい声で歌うことができます。
ハートの女王の手下の警備隊長に追われてアリスも魔法にかけられそうになりますが、警備隊長が反対に魔法にかかってイヌになってしまいます。
皆の魔法を解いてもらうためハートの女王のお城に赴いて歌の素晴らしさを訴えるアリス達。魔法は解けるのでしょうか?

出演歌手は男性4名(バス、バリトン、テノール、カウンターテナー)、女性1名(ソプラノ)という5つの声。女性のアルトはおりませんでしたが、カウンターテナーはだいたいアルトと同じ高さの声なんだそうです。アリス(ソプラノ)を取り巻く人々(=魔法で動物に変えられてしまっている)が全員男性ということで、このキャストでバランスが良いようです。

男性の4名はそれぞれ、ゾウ(バス)、ウサギ(バリトン)、ネコ(テノール)、トリ(カウンターテナー)で、それぞれのキャラがとても似合っていました。トリは調子が良くて快活、ネコはキザでクール、ウサギは朴訥で何故か侍言葉(笑)、ゾウはのんびりしていて低音が素敵すぎ(*^_^*)

主人公の女性は毎年アリス役をなさっていて、あまりに演技が上手なので女優さんなのかなと思っていたら、この方も歌手だったのですね。見た目も少女のようで活き活きとしたコメディエンヌぶり、アリスはハマリ役です。しかも歌い始めるとそれはもう素晴らしいソプラノで惚れ惚れしてしまう歌声でありました。

そして我が師匠の女優・金子あいさま♡ 今回、前半は警備隊長としてご出演。アリスを追っかけ回して走る走る、舞台上のみならず客席の通路もすごい勢いで走りまくるε=ε=ε=┌(o゚ェ゚)┘ 同年代の私としては「転ばないでー(≧д≦)」と祈る思いでしたが、それでも私よりちょっぴり若いだけある(笑)、元気いっぱいに走りきりました。

警備隊長は魔法でイヌに変えられてしまい、その辺からドタバタなコントのような展開となるのですが、あいさんはそのコミカルな演技をとても楽しんでおられるご様子でした。

後日聞いたのですが、警備隊長、開演前にしれっとロビーに立っていたとか。ホンモノの警備員さんと信じてトイレの場所を聞く人がいたり、チビッコたちに怪訝な顔で見つめられたりして、面白かったみたいです。開演ぎりぎりに駆け込んだ私もしっかり警備隊長に見られていたそうで!ひゃー、全然気づかなかったです、一本取られました(笑)

そして後半、あいさんは本領発揮、ハートの女王様でご登場。ウエストをきゅっと締めて胸元の谷間♡を強調した上半身と巨大なレースのひだ襟、大きく膨らませたロングスカートのドレスはいかにも女王様というゴージャスなものでしたが、ロングスカートの前が少し開くようになっていて中からフリフリのミニスカートとハート柄のタイツを履いた脚線美がチラ見えしていたのが何ともキュートでございました(*´▽`*)♡

今年は前回まで好調だった「気に入らないね!」という決まり文句が台詞になかったのが残念でしたが「歌は人を幸せにしない」と言って歌を禁じていた女王様がアリスと仲間達の働きかけで戸惑いながらも少しずつ心を開いていく場面が今回のクライマックス。昨年はもっと強くて怖い物知らずの女王様でしたが、ちょっぴり弱さも見せて人間味が増した女王様もとても良かったです。

また、今回特に素晴らしかったのが舞台セット。白く巨大な、キノコの形や四角い形をしたオブジェだけが舞台上にセットされているのですが、そこにアニメーションや実写の映像を投影することで次々と状況を変えて見せます。そう、最近注目されているプロジェクションマッピングというものです。東京駅やディズニーランドのシンデレラ城でも使われたものですね(わたしゃ見てないですが…(^_^;))。

白く巨大なキノコに映し出された子どもの描く落書きのような可愛らしい小さなキノコたちがもにょもにょ動いたり色が変わったりしてとても楽しいのです♪ アリスと仲間達が手をつないで歌うと、無彩色に近かったキノコたちがどんどん明るい色に変化して、アリスが「見て!一緒に歌うと世界がこんなにカラフルになるよ!」と言って魔法にかかって歌うのを諦めかけていた仲間達を励まし、女王様の心を溶かそうと働きかける姿はとても感動的でした。

オーケストラは神奈川フィル。指揮者もオケの皆さんも全員キノコの帽子をかぶっていてとても可愛らしかったです。指揮者は「シキノコ」、オケは「ガッキノコ」…ってダジャレだし(笑)

音楽は子ども向けの曲ばかりではなく本格的なオペラのアリアもあって(しかも原語!)なんかこんなに安くお手軽に本物の歌曲楽しめちゃっていいのかしらん?ともったいないぐらい。

観ているチビッコたちもコミカルなお芝居の場面では無邪気に大声で笑っているのですが、音楽が演奏されるときちんとおとなしく聴いていて、よほど小さい子でない限りは、質の高いものは子どもにもしっかり良いと伝わるものだと思いましたよ。

観客席も一緒にみんなで歌うコーナーもあって、子どもも大人も誰もが知っている曲を全員で歌うと会場が一体となるこの楽しさはファミリー向けコンサートならではの雰囲気。

一般向けのコンサートでは周囲に気兼ねして子どもは連れて行きづらいと思われる親御さんも多いと思うので、このようなコンサートがもっと増えるといいですね。ファミリーのみならず、大人のグループやカップル、お一人様も楽しめるコンサートだと思いました。このフェスティヴァルには過去には歌舞伎や狂言も上演され、今年はこれから落語・バレエなどが控えているそうです。

私は来年もアリスが上演されて、金子あいさんがハートの女王でご出演され、そして名台詞「気に入らないね!」が再び飛び出すことを大いに期待しているのであります。日生劇場さんよろしく頼みます♪

《公式サイト》アリスのクラシックコンサート 5つの魔法の声

DSC_0394

DSC_0397