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若手能「道成寺」

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公演プログラム。黄色いのは国立能楽堂開場三十周年記念のシール。

国立能楽堂で催された「若手能」を拝見してきました。
「若手能」とは次代を担う若手能楽師が集う能楽若手研究会公演のこと。若手能楽師中心に配役され、国立能楽堂養成研修の修了生が数多く出演されています。

さて、今回は国立能楽堂開場三十周年を記念して大曲『道成寺』が上演されました。

『道成寺』は人気曲です。本日もほぼ満席でした。チケットはいつも争奪戦です(今回は友人のお力添えあり入手できました。ありがたや~(*’▽’*))。『道成寺』は能の演目の中でもかなり異色な部類に入りましょう。特色はやはり巨大な鐘の作り物(=大道具)が登場し、鐘入り、乱拍子などの他の能ではみられない特殊な演出が取り入れられていることです。

☆鐘入りとは・・・シテが落ちてくる鐘に飛び込む最大の見どころです。鐘の重量は80キロほどで、万一失敗すると大怪我の恐れもある命がけの場面です。シテは暗い鐘の中でたった一人で面と装束を替えます。鐘が上がると般若の面をかけ装束替えしたシテ(=蛇体)が現れます。

☆乱拍子とは・・・シテと小鼓が演じる最も難しい演じどころです。小鼓の掛け声と打音に合わせてシテが足拍子を踏みます。シテと小鼓の息づかいのみで間を合わせます。間合いが非常に長いため、舞台も見所も息を呑むような緊張感が張り詰めます。

乱拍子は何度見ても実に奇妙な舞だな~と思ってしまいます。シテが片足のつま先だけ上げてしばらく静止(これまたべらぼうに長い間)。小鼓の掛け声と息を合わせて足拍子。その繰り返し。シテと小鼓の一騎打ちな感じ。時々笛は入ります(大鼓はお休み)。字幕解説によると「白拍子が鐘楼への階段を登る様を表現」とありました。ふーーん、そうなのか。初めて知りました。今回、乱拍子は約25分でした。これは結構長い方ではないか?

鐘入りは、シテが鐘の内側に入り壁面に手をかけ足拍子を踏み、鐘が落ちると同時に飛び上がって鐘の中にすっぽり入ります。鐘より先にシテが落下することのないよう飛ぶのが良しとされています。できるだけ高く飛べばよさそうですが、鐘の天井に頭を打ってもいけないので飛ぶタイミングがとても難しそう。今回は非常にキレイに決まっていました!( ゚∀゚ノノ゙パチパチパチ

今回は観世流宗家の弟サンがシテを勤めました。52歳で若手??40、50は若手の世界なんでしょうか。なにゆえシテは養成研修修了生でないのか?せっかくだからシテも修了生にやってもらえばいいのに~と思っていたら、国立能楽堂で養成してるのはワキ方・囃子方・狂言方だけなんですね~(これまた初めて知った)。シテ方は間に合ってるということでしょうか。というよりシテ方以外が極端に不足しているってことなんでしょうね。

そういや観世宗家がいつのまにか改名していました(観世清和→観世清河寿)。キヨ君プログラムにいないよどーした?とものすごく探してしまったよ。ちゃんと後見で出ていました。なんでも渋谷の観世能楽堂を銀座に建て直すそうで。3月には能と文楽との競演、金剛流宗家との競演などいろいろ予定されてるみたいで・・・飛ぶ鳥落とす勢いですね!

それはともかく、今回お能が初めて&二回目という友人達も満足してくれたようです。能として典型的な演目ではないけど、見どころがたくさんあってお能好きはもちろん初心者でも十分楽しめる曲だとワタシは思っています。

3月は喜多流の道成寺を観に行きます!上掛り(観世・宝生)と下掛り(金春・金剛・喜多)では演出が大きく異なります。それも何度観ても飽きない所以かもしれません。次の道成寺はどんなのかな!?楽しみですっ!(*´▽`*)

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今回で二十三回目を迎える若手能。国立能楽堂開場三十周年を記念して若手能として初めて道成寺が上演された。

ふなべんけい三昧

昨日の「関寺小町」ではなんかもぞもぞしていた子方の片山清愛君が、今日はのびのびと義経を演じていたなぁ。
今日の船辨慶(観世流)は、昨日の関寺と出演者がだいぶ重なってました。しかしながら、他の四流の仕舞も含めて、出演者は30~40代中心。なんだかまぶしいくらい若々しいお舞台でしたわ~。funabenkei1

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関寺小町

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「関寺小町」・・・
お能の演目の中でも最高位とされ、長い年月の修練の末、ふさわしい実力が備わった者にのみ演じることが許される重習いの曲。演じられる能楽師が少ないため上演回数が極めて少なくおのずと稀曲となっています。

すみません、最初にお断りしておきますが、今回はお能ネタにしては珍しく、ネガティブな内容です。批判と言ってよいです。その手の投稿がお嫌いな方はお読みにならずにスルーしてくださいませ。

5月は文楽に夢中になっていたため、お能鑑賞はしばらくお休みしていました。

本日、1ヶ月ぶりのお能、しかも、数年ぶりの「関寺小町」を拝見できるとあって、私は気合いが入っていました。午後休をとり、一刻も早く着きたいので「特急あずさ号」に乗って、職場から国立能楽堂へ。

おシテの片山幽雪さん(82歳)は3回目の「関寺」だそうで。三度も「関寺」を勤めた人は近頃ではほとんどいないんじゃないでしょうか。あー今ググったら明治以降では例がないそうですね。

私の感想をひと言で言えば「二度でやめておけばよかったのに」でした。
「関寺」を勤めるには、彼は衰えすぎていました。謡が抜けたり飛んだりする。一人で立ち上がることもできない。明らかに老化です。舞も、老女の舞とはいえ、美しさが微塵も感じられなかった・・。

百歳の老婆に見えたといえばそうなのかも(?)しれませんが、芸に秀でた経験豊かな演者が百歳の老人を演じるからこそ意味があるのであって、リアルな老人のドキュメンタリーを見たかったわけではないのです。

お年を召したなら舞台から退くべきとは決して思いませんが、「関寺」はシテ方が一生に一度できるかできないかという特別な曲です。崇高な目標です。ボロボロになりながら記録に挑戦するための曲ではないのです。既に二度も勤めているのだし、潮時を悟るべきでした。

ネット上では賞賛する声もありましたが、人間国宝という権威がそういった感想を生むのかなと思われました。あるいは「関寺」を観る機会が少なく他との比較が難しいというのもあるのかもしれません。観世流宗家が後見を勤めていましたし、他の出演者も凄すぎる布陣だっただけに、それが全く生かされることがなく終わったのは、まことに残念なことでした。

久々のお能だったのにー、なんか不完全燃焼で終わってしまいましたー(´д`)
明日は船弁慶で口直しと行きますか!

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檀風:ついに観た!

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上演が発表されてからずーーーっと期待し続けていた、下掛宝生流 能の会『檀風』、ついに観て参りました!満席の国立能楽堂。開演前からただならぬ熱気で、なんだか凄い会になりそうな予感。そして、その予感は見事に当たり、しかも、期待をはるかに上回りました!!

すいません、こっから先、長いです!(笑)

【ざっくりあらすじ】
囚われの身「資朝」の子の「梅若」が「阿闍梨」と共に父に会いに来るが、父は子に類が及ばぬよう「子はいない」という。それでも子は父を追い声をかける。「本間」は子を無事に返すと父に約束し、父は安心し覚悟を決め本間に処刑される。だが、子は「本間こそ父の敵」と、阿闍梨の助けを得て本間を討ち果たす。
追っ手が迫り危機一髪の梅若と阿闍梨。しかし、阿闍梨の祈祷によって出現した熊野権現が風を変え二人は無事逃げ延びるのだった。

ワキ方が活躍する曲のためか、非常にドラマチックな構成でした。

阿闍利を勤められた森常好さま、素晴らしかったです!いつも美声だな~と思って拝見しているのですが、今日は特に表情がとても豊かで(最前列だったのでよく見えました)観てるこちらにも感情が切々と伝わってきました。お能って普段は表情あまり見えないので(シテは能面かけてるし。笑)これもワキ方の曲ならではですね。
阿闍梨が資朝の亡骸を抱き上げ供養するシーンがあります。この曲一番の見どころです。厳粛な静寂の中、森さんが亡骸に見立てた装束を抱き上げます。ゆっくりと恭しく。装束で人の形を作って持ち上げ、あたかも本物の人を抱きかかえているかのように見えました。会場のあちこちからすすり泣く声が聞こえています。森さんの悲しげで無念に満ちたお顔。私も目頭が熱く!(T_T)

本間三郎のお役の殿田謙吉さまもナイス!度量の広さを示す台詞の数々。また、処刑を執行するシーンは非常に写実的で観ててゾクッとしてしまいました。処刑された本人(前シテ)は装束の一部だけ床に置き、すたすた歩いて切戸口から去ります。この辺、いかにも能らしい(笑)その後、本間は討たれてしまうのですが、その仇討ちのシーンも阿闍利と子方がパントマイムで・・。あれ?本間いつの間にいなくなってたのでしょう?ワキ柱の陰になって退場の瞬間が見えなかったです。本間、情けをかけようとした本人に殺されちゃってちょっと可哀相。

子方の宝生尚哉くん、可愛かったですぅ(*´▽`*) 7,8歳ぐらいでしょうかね~。あれだけ長い舞台で立ちっぱなしで謡も多いのによく頑張ったなぁ~と思います。本当に「めんこめんこ」してあげたい(*^_^*)

そして、嬉しかったのが人間国宝、宝生閑さまのご復帰!今年に入ってから病気療養なさっていて心配いたしましたが、今回、予定通り素謡「経政」のシテでご出演なさいました。お元気なお姿を拝見し謡を拝聴でき感無量です。今後も末永くお元気でご活躍ください!ちなみに子方の尚哉くんは閑さまのお孫さんですって。

他に野村萬さんらの狂言、友枝昭世さんらの仕舞などもあり、なんて贅沢なラインナップなんでしょう!!とにかく至福の3時間余りでございました。

貴重なものを観てしまった。この感動を反芻したい!てなわけで謡本まで購入してしまいました。下掛宝生流の謡本は初めて見ました。昭和30年発行とあります。

ワキ方の台詞が多いため、非常に聞き取りやすく、ストーリーもわかりやすいので、レア曲ながらも初心者でも楽しめる演目じゃないかなと思います。皆さま、次回上演の際はぜひぜひご覧あそばせ!(って何年後、いや、何十年後になるか全くわかりませんが。笑)

国立能楽堂定例公演「頼政」

一昨日、国立能楽堂の定例公演にて。狂言「腰祈」能「頼政」鑑賞しました。お天気も良く、ランチ食べてお能を堪能して優雅な休日でございましたわ~オホホホ。(その後さらに文楽にもハシゴした。笑)

ちなみに今回お能が初めてのお友達もおりまして、修羅物(主に源平の武将が主役)にしては動きが少なめの演目だったので(シテが70歳すぎのおじいさんの設定のため)退屈しないかちょっと心配しましたが、みんなそれぞれに楽しんでもらえたようです。あまり動かないけど装束はゴージャスなキンキラキンでそれ見ただけでも能を観た!って感じです(笑)

能は金剛流という京都の流派で、ここ久しく観られていなかったんですが、先週末、式能で何年ぶりかで拝見。今回も続けて観られてラッキー☆ おシテは今井清隆さんという素敵なおじさまです。シテの場合、面をかけていてお顔が見えないのが惜しい。

狂言は和泉流の三宅藤九郎家で、おシテは三宅右近さん、野村萬さんや野村万作さんの従兄弟にあたります。あと息子さん二人も共演。ここの兄弟はイケメンですなぁ~(*´▽`*)

また、お能の地謡にイケメンがいたという情報もキャッチ!韓流スターのように前髪をたらしている人がいて、金剛流やるな~と変なところに感心してしまいました。

「頼政」は世阿弥作、語りが中心で謡の詞章がたいへん美しい曲です。字幕表示もあったので予習無しでもOKでした。平家物語にはまり始めている私にはとても面白かったです。謡は上級のものであと何十年は無理っぽいから(笑)、ぜひ朗読してみたい!

式能について

昨日観てきた「式能」について少しご紹介をいたします。

奈良時代に起源を持ち、室町時代に完成した能ですが、江戸時代になって儀式として上演されるプログラムが確立されました。それが「式能」です。正式な番組編成は、神事である「翁」と、神・男・女・狂・鬼 に分類される5つの能が必ずこの順序で1日がかりで上演されます。また、それぞれの能の間には狂言(計4つ)が上演されます。

江戸幕府が江戸城で催していた儀式ですが、現在では能楽協会が毎年開催したりしています。

昨日の式能では、シテ方5流、ワキ方3流、狂言方2流、と現存する全ての流派(囃子方については全流派だったかどうかチェックしてません・・・すんません<(_^_)>)の能・狂言を鑑賞することができ、たいへん満足いたしました。人間国宝や人気役者も数多くご出演。しかも、通しで観ても8000円(脇正面・中正面席)とは安いとは思いませんか??(第一部と第二部の二公演に分かれていますので、一公演平均4000円ということになります)

お料理で言えばフルコース、といったところですね!

ちなみに、この5月にはユネスコ記念能というのがあって、「船弁慶」という演目についてのみ、シテ方5つの全ての流派による上演(能または仕舞。能は観世流のみ)が行われます。同じ演目でも流儀によっていろいろ違うのでたいへん興味深いです。これは料理に例えると「松茸尽くし」といった感じですね。

「翁」については、次の投稿でご紹介したいと思います。

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式能な一日

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国立能楽堂にやってきました。式能。これから夜7時までぶっ通しで観ます。至福!
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ガーンΣ( ̄ロ ̄lll) 人間国宝の宝生閑さまが病気ご休演です。拝見できないのも残念ですが、おかげんが心配…。
動揺のあまりピントが外れてしまいました・・(汗)
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式能。第一部が終了し、第二部の開演を待ってます。
第一部は、翁と能2番、狂言2番。例えて言うなら100キロマラソンに出場して、既にフルマラソンの距離を走ってきたけど、まだ半分以上残ってるという感じです。
万作さまの太郎冠者、相変わらず愛らしゅう〜(*´▽`*)
第二部は、能3番、狂言2番、久々に観る金剛流の能と、これまた久々の野村萬さんを楽しみにしてます!
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式能、終わりました!9時間、最後まで走りきった!(観てただけですが 笑)観てる方も体力要りますね。さすがに途中寝そうになった(^_^;)

檀風:つづき



以前にもご紹介したワキ方が活躍する能「檀風」のお話のつづきです。

前回のお話→http://churi.pinoko.jp/nameko/?p=59

「東京では昭和48年に上演されて以来40年ぶりという稀曲中の稀曲」だそうで。これは絶対に見逃せない!!!もちろんワタクシは観に参りますわよ。後は当日まで体調を整えておくだけです(気合い入ってます 笑)

チケットもまだ入手可能とのことなので、観てみたい方はぜひ国立能楽堂までお運びくださいませ(次はいつ観られるかわかりませんヨ~)。

チラシの写真は誰なんだろう~と思っていましたが、人間国宝・宝生閑氏のお父様、宝生弥一氏だそうです。お声は貴重音源で拝聴したことがありますが、お写真ですがご尊顔を拝するのは初めてでございます。威風堂堂たる御姿でございますねえ~(*´▽`*)